第8回 仕事のルビー 働くサファイア~働く私を動かした言葉や出来事~ 入選作品発表
《灰色で輝いて》が キラリしごと大賞 に!
第8回 「仕事のルビー 働くサファイア」~働く私を動かした言葉や出来事~ 入選作品発表
当NPOでは、「仕事とキャリアのアーカイブ構築事業」として、職業キャリアに関する250字の投稿企画である第8回「仕事のルビー 働くサファイア ~働く私を動かした言葉や出来事~」を募集し、応募作品 349 点の中から入選作品 5点を決定しましたので発表いたします。
【募集概要と応募結果】についてはこちらをご参照ください。
■キラリしごと大賞 ペンネーム A.K. 様 中部在住 40歳代
「灰色で輝いて」
子育ても仕事も思うように進まずにモヤモヤしていた。もっと働きたい。もっと子どもといたい。もっとできるのに。もっといい母親でいるはずなのに。どちらかを選ぶしかない。声には出さなかったが、そんな思いを募らせていたことを察して下さったのだろう。上司からの年賀状には「絶対に手放しちゃダメ。白黒なんて付けたら仕事は続けられない。灰色、グレー、鼠色。み~んなそう!」と書かれていた。それ以来、誰もが濃淡あるグレーな日常に生きているんだ、と思えるようになった。仕事も子育ても思うようにはいかない。そして、楽しい。
<ご本人コメント>
この度はこのような賞を頂き、誠にありがとうございます。
「あの時、仕事を手放さなくてよかった」と振り返りつつ、改めてこの言葉の大きさを感じています。幼かった子どもたちは反抗期に突入し、若手だった職場での立ち位置は中堅へと変化しましたが、相変わらず、白でも黒でもない状態で奮闘する毎日です。そんなわけで、今も変わらずこの言葉に支えられ、この先もそうであろうと感じています。そんな貴重な言葉を共有させていただけたこと、心より感謝申し上げます。真摯に仕事に向き合い、周囲に恩返しできるよう努めていきたいです。
■ルビー賞 お名前 岡澤 瑞恵(おかざわ みづえ)様 中部在住 30歳代
「輝ける世界」
高校を辞めて働き始めたガソリンスタンド。カッコいい女性になりたくて、オイルやタイヤなどの交換作業を教わった。しかし車業界での女性の活躍は少なく「えっあなたがやるの?大丈夫?」そんな心無い言葉がとても悔しかった。そんな時、当時の所長が整備士の資格を勧めてくれた。「俺も受けるから一緒に受けてみようよ」次の日から私はとにかく勉強した。慣れないカタカナを、呪文のように唱える毎日。でも不思議と楽しかった。そして今私は自信を持って現場に立っている。左胸に国家資格整備士のワッペンを付けて。
<ご本人コメント>
この度は素晴らしい賞をいただき、大変嬉しく思っています。整備士の資格は、私にとってお守りのようなものです。最近では女性の社会進出が多くなってきましたが、それでもまだ働く女性へのイメージや偏見によって、辛い思いをしている方は少なくないと思います。「女性だから」を「出来ない」理由にしないでほしい。男性に出来て女性には出来ない、そんなことはないと私は思っています。今よりももっと、女性が輝ける世界になることを祈っています。
■サファイア賞 森 麻里絵(もり まりえ)様 関東在住 30歳代
「胸に刻む」
「一歩一歩と」。これは、父の作業服の胸元に刻まれた文字。「ひとつひとつ丁寧に。そして、確実に進んでゆく」ということだろう、幼心にそう思っていた。だが、なぜか、‟一歩一歩”の部分は白で、‟と”は赤い糸で刺繍されている。ある日、父が言った。「お前、将棋わかるか? 一番弱い駒で、‟歩”ってあるんだけど。あれなぁ、あるとこまで行ったら‟金”と同じ動きができるようになるんだ」「え?もしかして……」「な、あれはそういう意味なんだ」
仕事がうまくいかないとき、私はいつもこの言葉を思い出している。
<ご本人コメント>
ここ数年、父が私に与えてくれた愛情を感じる機会が増え「よし!あの日のことを書こう」と思い応募しました。ちょっとコワモテですが、色んなことを知っている父。生きるうえで必要なことの多くは、彼から教わったような気がします。思い切って書いた作品が運良く入賞し、受賞コメントまで書かせていただけるなんて本当に夢のようです。ありがとうございます。
最後に、この場をお借りして、父に一番伝えたいことを書きます。自分の子供のように育ててくれてありがとう。ちゃんと届くといいなぁ。
■ガーネット賞 はまやらわっちゃん 様 北陸在住 50歳代
「思いやりと前向きと」
常に痛みを伴う持病があり障害者雇用で在宅ワークをしている。同じ会社で働く障害者の女性と業務連絡のため電話で話す機会があった。業務の会話が終了しても親しげな口調の雰囲気についつい話し込んだ。互いの障害のことなどを。私は痛みで眠れないときや仕事中の痛みの辛さを少し話した。彼女は視覚障害だった。「痛いのはつらいよね。私なんか見えないだけだから」そう言った彼女の言葉に衝撃を受けた。数年前までは見えていた目が全盲になったという状況で……。彼女の気持ちの強さに涙が出て止まらなかった。
<ご本人コメント>
このたびは素敵な賞を頂戴し、誠にありがとうございます。とても光栄です。
今回のガーネット賞は私より、電話で話した彼女に向けての受賞だと思いました。
部署が変わり、彼女とはもう交流することはなくなりましたが、忘れられない心に響く会話でした。体調の悪さや辛い出来事も多く続く中、彼女のやさしい声を思い出し頑張れる日々もありました。
支えてくださる周囲の方々に感謝しながら、自分ができることをできうる限り今後も続けていきたいと思います。受賞いただきましたことに感謝申し上げます。
■ガーネット賞 フー子 様 関東在住 30歳代
「誰でもできる仕事で」
うつ病と診断され障害者雇用枠で働くことになった。メインは病棟の洗濯物たたみ。正直こんなこと五歳の息子でもできる。だがある日リネン室を覗いた患者さんが「これはあなたが畳んでいたのね。病院にいながらまるでホテルのような感じがしてたの」と笑った。その表情を見るなり、なぜだろう、胸が熱くなった。こんなちっちゃな事でも誰かを笑顔にできるなら。今は誰でもできる仕事で誰よりもできる人間になりたいと思う。
<ご本人コメント>
このたびは素晴らしい賞に選んでいただきありがとうございました。とても嬉しく、感慨深いです。今の仕事はちいさな頃からの夢でしたが、なかなかうまくいかず葛藤の日々です。「もっとできるのに」と思ったり、「なんで私はこうなんだろう」と悩んだり。感情のジェットコースターに悩まされることなんてしょっちゅう。それでもたくさんの方のおかげでここまでやってこられました。今回は作品を選んで下さった方と、支えて下さった方に、「ありがとう」を伝えたいです。そして自分なりにこれからも精進していきたいです。本当にありがとうございました。