開催報告「女性活躍の現況を考える~いま私たちはどこまできたのか~」2023年度 総合シンポジウム

2024年2月20日(火)に総合シンポジウム「女性活躍の現況を考える~いま私たちはどこまできたのか~」が開催されました。
オンラインで実施し、50名の方が参加されました。
諏訪理事長の問題提起に呼応した基調報告者、パネラーの掛け合いは圧巻でした。

以下開催報告です(文責は事務局)



基調報告:内閣府男女共同参画局長 岡田 恵子 氏
パネラー:高倉&Company合同会社共同代表 髙倉 千春 氏
     リクルート・ジョブズリサーチセンター長 宇佐川邦子 氏
モデレーター:認定NPO法人キャリア権推進ネットワーク 諏訪 康雄 理事長
代表質問:菊池桃子理事



まず、岡田氏から、女性活躍の現況について、以下のような報告がありました。

・ここ10年で女性の就業者は400万人弱増加しており、女性の就業は広がっている。

・他方、長時間労働等の労働慣行や家事・育児負担の女性への偏りから、出産を契機に女性の非正規雇用化は顕著であり、役職者に占める女性割合も高まりつつあるものの国際的には非常に低い水準にある。

・こうした状況に鑑み、「企業における女性登用の加速化」等の政策が進行中である(「女性版骨太の方針2023」)。

その後、菊池桃子理事との間で、以下のやりとりがありました。

菊池理事:男女間賃金格差や固定的役割分担意識は根強いものだが、今後、どのようなことが契機となって変わっていくのか、あるいは変えていくべきなのだろうか。
岡田氏:一気に変わるというわけにはいかないが、データで見ても「女性の正規雇用」や「男性の家事・育児負担」についての若い世代の意識はかなり変わってきており、これが浸透していけば大きな変化がもたらされるのではないか。

菊池理事:なかなか難しいと言われていたテレワークがコロナを機に広がってきているが、女性にとってテレワークとはどういう意義があると考えるか。
岡田氏:女性にとって時間・場所を問わず働けるテレワークは仕事の幅を広げる大きなチャンス。

これに続き、高倉氏より、外資系も含め企業において長く人事に携わってこられた経験からの報告、
宇佐川氏より、仕事探しの実態からみられる女性活躍の課題等についての報告がありました。


その後、諏訪理事長による問題提起(「女性活躍の現況は?」「なぜ歩みが遅いのか?」「どうしたら前に進められるのか?」)に沿ったパネルディスカッションが行われました。

その概要は以下のとおりです。

ア.「女性活躍の現況をどうみるか」

・女性役員比率なども徐々に上がってきてはいるのだが、他のOECD諸国に追いついていない。女性活躍推進法改正で男女間賃金格差の開示義務が加わった。格差の要因は複合的だと思うが、各社、これを分析して、是正策を考えていくことが大事(岡田氏)。

・自分は均等法前世代。「寿」退社が一般的だった当時と比べれば女性の自立機会は広がっており、これを女性が活かせるかどうかだ。男女間賃金格差の要因としては、女性は①低役職、②サポート的な業務、③転勤がないので転勤に関わる手当がない、の三つが大きい(高倉氏)。

・いわゆる「男性職種」「女性職種」があり、会社も本人もそういうものだと思っている。それによる職種間賃金格差が大きい。論点がずれるが、最近は男性も管理職になりたがらない。仕事負荷に比して報酬が大したことないという問題(宇佐川氏)。

イ.「なぜ歩みが遅いのか」

・歩みが遅いのは当事者が声を上げないから。「保育園落ちた。日本死ね。」というつぶやきが保育行政を動かしたように、声を上げなければ変わらない。声を上げやすい組織・社会でありたい(宇佐川氏)。

・組織風土、意識を変えていくというのは厄介な課題。組織内の関係性に重きを置かれる風土、仕事そのものの価値が評価されにくいのが日本の企業。「言った者負け」。提案すると「お前やれ」→失敗したら浮かばれない、そんな先輩の姿を嫌というほど見せられたら言い出す気にならないという若手。そういう意味では組織にどっぷり漬かってない女性の活躍をテコにして組織の中で「言える環境」を作るというのも有効(高倉氏)。

・理工系女子が少ないというので大学も女性枠設定など努力しているが、問題はその前。親からの刷り込み、中高でも教師から理科の実験などでは「男が実験をやり、女はメモ取り」というような無意識の刷り込みがある。こうしたアンコンシャスバイアスを粘り強く取り除いていかないと(岡田氏)。

ウ.「どうしたら進むのか」

・経営者の覚悟が重要。私の属していた味の素も「女性30%クラブ」のメンバーだったが、グローバル競争を勝ち抜くためには人材の多様化が必須という考え方のもと、社長自ら旗をふっていた。また、女性自身、社内外にネットワークを作り、チャンスを生かしていくことが大事(高倉氏)。

・人口減の中での空前の人手不足は女性活躍の追い風。企業も個人もこの風に乗ることが大事(宇佐川氏)。

・女性活躍状況を投資判断の重要な要素とする資本市場、労働市場の売り手市場状況など、様々な外形的な力を使うことが大事(岡田氏)。

最後に諏訪理事長より「今後とも当NPOのキャリアを尊重し支援する社会形成に向けての活動に対するご支援・ご協力をお願いする」旨の挨拶がありました。