開催レポート:第8回「キャリア・コロッキアム:多様なキャリアを考える懇談会」

100年人生に向かい、「多様なキャリア」と「キャリア支援のあるべき姿」について勉強し研鑽する場として、当NPO法人諏訪康雄理事長が主宰し開催する「キャリア・コロッキアム」。

第8回は、2020年9月25日(金)18:00~20:00、キャリア・コロッキアムとして初のZoomによる遠隔セミナーを開催いたしました。
NPO会員9名、非会員10名、関係者5名の計24名が参集しました。
またオンラインという特性から名古屋や静岡などの遠方からのご参加があったのも特徴的でした。

第一部は、「職場で役立つコミュニケーション・スキル:コロナ時代、何が変わって、何が変わらないか」をテーマに三尾眞由美先生(小児発達学博士(メンタルヘルス支援領域) 公認心理師、臨床心理士、シニア産業カウンセラー)の講演が行われました。

コロナ禍において、求められている三密をさける行動においてはマスクをしたり、ソーシャルディスタンスをとったりすることで相手の表情やしぐさなどの情報は制限されます。
すなわち聴覚と視覚で情報を収集することになります。
Zoomに代表されるような遠隔での会議や授業などでは、顔を見ながら相手と意思疎通ができるといっても、細かい表情がわからなかったり、声のトーンが伝わらないという状況が普通に起こります。
しかも参加者同士の個人間の意思疎通は大きく制限されます。
そんな時にコミュニケーションの距離をモノサシで測りなおして、最適な方法を試みましょうと穏やかな口調で語られました。

またご自身で開発されたOKS(お悩み開発シート)によって、友人へのアドバイス(友人助言法)というパートで、「メタ認知」(認知(知覚、記憶、学習、言語、思考など)することを、より高い視点から認知すること)が強化され、客観的な視点を手に入れ、特定の不合理な考えだけではなく、全ての考えに対して客観的な立場からみられるようになった可能性があることを紹介してくださいました。

三尾先生は著書『コミュニケーションのモノサシ』(2020 同友館)でも紹介されている、ラインホールド・ニーバー(アメリカの自由主義神学者)の言葉を引用。

まとめとして、変えられないものを受け入れる、変えられるものを変える、その両者を見分けるという3つの視点、すなわち「心の静けさ、勇気、英知」によって、コロナ禍においてもコミュニケーションの根本を忘れないでいれば、社会環境の変化を恐れることはないと説かれました。今までと大きく変わった日常にばかり目を奪われがちですが、科学の進歩は治療薬の開発に道筋をつけてくれ、会社における人間関係の構築においてもその本質が問い直されていくと提示されました。

第二部はその話を受け、諏訪理事長から新しい日常における「職場コミュニケーションの課題」に戸惑いが生じているのではないか、という問題提起がありました。

テレワーク(在宅勤務など)の急速な進展で、リモート分散就業におけるコミュニケーション手法が大変な話題になりました。
テレワーク勤務ができる人とそうでない人との間で、微妙なわだかまりが生まれたり、査定上の有利、不利が指摘されたりしています。
従来の出社型・対面型のコミュニケーションに慣れ親しんだ中間管理職が適切な対応ができなくて、過剰管理になったり、逆に放任管理になったりしています。
諏訪理事長はそれらの点を指摘し、その後グループワークを行う予定でしたが、残念ながらシステムトラブルにより、残り時間は質疑応答に方向転換しました。

ただし、基調講演の三尾先生、諏訪理事長のお話は、コロナ禍に生きる私達がどうキャリア形成していくか、大変示唆に富んだものであり、参加者からは活発なご意見が多数寄せられました。
一部トラブルがあったことをお詫びするとともに、そのままご参加していただいた皆様に心から感謝申し上げます。


この勉強会は年間4回の開催を予定し、毎回、多様なキャリアにかかわっているゲスト講師をお招きし、基調講演をしていただいたうえで、参加者の皆様と一緒にグループワークを行っていきます。
次回もZoomによる遠隔セミナーで、2020年11月6日(金)開催の予定です。
法政大学キャリアデザイン学部教授で一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事の田中研之輔先生を基調講演者にお迎えして、「プロティアン・キャリア論の新たな地平」 をテーマにご講和いただきます。
多くの皆様のご参加をお待ち申し上げています。

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