第4回 キャリア権シンポジウム 開催報告

2016/11/29(火)第4回 キャリア権シンポジウムを開催しました。
ご講演、シンポジウムの様子、コメントなどを一部ご紹介します。

1.テーマ:「キャリア権を考える~働き方改革とキャリア権~」
2.日程:11月29日(火)18:30~21:00)(弘済会館 4F 菊)
3.参加者数:71名
4.プログラム
●基調講演
 講師:日本大学総合科学研究所 准教授 安藤 至大(むねとも)先生
 演題:「激変する働き方と雇用 ~働く人と企業はどう対応すればいいのか~」
●菊池桃子理事と講師による質疑応答
●パネルディスカッション 「働き方改革とキャリア形成」
 モデレーター:安藤先生
 パネリスト (氏名 五十音順):
 ・読売新聞東京本社編集局 社会保障部 次長 大津 和夫様
 ・日本電気株式会社 人事部長 佐藤 秀明 様
 ・全国高等学校進路指導協議会事務局長
    晴海総合高等学校 主幹教諭 千葉 吉裕 様
 ・連合 雇用対策局次長 丸田 満 様
■安藤先生のお話より
<キャリア権について>
・「キャリア権」とは、働く人々が意欲と能力に応 じて希望する仕事を選択し、職業生活を通じて幸 福を追求する権利
・必要な施策
  ・キャリアに関する自発的な学習の支援
  ・早い段階からの教育と社会的なサポート
  ・企業、労働組合、学校、自治体、国や社会、
   そし て働くすべての人が「キャリア権」を考えるべき
<全体のまとめ>
・現在の働き方は、正規も非正規も問題がある
・これから人口減少による人手不足と技術的失業の増大が課題になる
・企業・職種・地域をまたがる労働移動が必要に
・時代にあった働き方を実現するための「働き方改革」 は進めるべき
・一人ひとりが変化に備えることも求められる
・キャリア権の重要性
■パネルディスカッション
<千葉様>
・働き方改革実現会議及び少子高齢化社会の到来/経済活動のグローバル化/高度情報化社会の顕在化/科学技術の進展等を踏まえて、学校の役割は「変化に対応できる価値観の確立」と「変化に対応した人材育成」であり、能力・態度の開発である。
・東京五輪の2020年の後に不況がくるので、労働市場も大転換の年になる。
・就社型社員からジョブ型社員(職務限定)になる。
・企業横断的なキャリア形成が求められ、組織に頼る時代から、個の責任で選択する時代へ。
<佐藤様>
・働き方改革の9項目は、いずれも相互に複雑に絡んでいる課題であり、企業の生産性の向上につながるキーワードは「流動性」ではないか。
・NECのキャリア支援
 ①2WAYコミュニケーション:社員本人の「やりたい事」「できる事」「求められる事」が重なった所を広げていく事で、キャリアに関する職場上司との接点を見出し、相互の対話を通して、ありたい姿に近づく
 ②ライフタイムキャリア・サポート」
・「キャリア」をめぐる当社の最近の取り組み
内部での取り組み:人材とキャリアパスの“見える化”、組織横断的な異動とトレーニング、ダイバーシティを前提とした経営、(女性、障がい者、外国人、、、)
シニア層の活躍の場の拡大と同時に後継者を確保、社内コミュニケーション、ネットワークの再構築
外部との関係での取り組み:経験者採用拡大と新卒採用見直し、社外転身支援強化(好事例作り、インセンティブ、意識変革、、、)、外部との接点作り(過疎地、スラム、異業種、、、)
<丸田様>
・「働き方改革」で議論される9つの政策項目には、連合が実現を求めてきた政策と共通する部分も多い。この政策項目について、真に実効性ある法規制などを実現することが重要。
・連合が考える職業能力開発のあり方:人材育成は、企業主体による職業能力開発が原則。 人を育てることに力を入れる企業に対する支援を強化すべき。学校教育の段階から職業生活を意識した職業教育・キャリア教育が必要。
・雇用形態や企業規模にかかわらず、すべての労働者に中長期的なキャリア形成の職業能力開発機会が提供されるべき。「時間の確保」と「費用の補助」の観点から、具体的な環境整備を行うべき。
・現状の課題:
 ①働く者の職業能力開発について、雇用形態や企業規模による格差がある。
 ②学び直しに際して、時間と費用が大きな壁となっている。
<大津様>
・キャリア権はフツーの人の目線で考えることが大切。
・戸惑いの正体は3つある。
 ①時間の壁:仕事でいっぱい、いっぱい・・・。
 ②カネ・サービスの壁:正社員とそれ以外の賃金カーブの差、サービス(子育て・育児等)
 ③風土の壁:@「個」を出しにくい。職場など「場」を重視。国民性。部活動、PTA・・。
・キャリア権は二階建てで。3つの壁をクリアした上で、転職市場活性化、リカレント教育、起業支援が求められる。
■参加者アンケートより(抜粋)
・「キャリア権」の具体的法整備について「共働」するというアイデアに賛同します。会員をつのりながら、一緒に作っていくことは大切です。
・安藤先生の経済学視点からキャリア権はとても分かり易く、“自分ごと”として考える良い機会となりました。今回は産業界からだけでなく教育界(高校)からも発言があり、非常に興味深く聴講できました。いつもありがとうございます。
・キャリアという物を自社で伝えていく良い勉強(材料)になった。自らもキャリアという物を考えさせられました。
・パネルディスカッションは、それぞれの立場の方の意見がきちんと共有されていた。
・派遣の世界では、キャリア権というより、もっと基礎的な教育を派遣社員の人に用意し実施することがまず必要であり、重要です。
・日本社会における課題とその背景を様々な立場を通じて、どうあるべきかを考える機会を頂けてよかったです。
・パネルディスカッションで様々な立場のご意見を聞けたことが良かったです。
・学校へのキャリア権出前授業の成果を発信されると嬉しく思います。
・形から入るも良しだが日本の雇用風土に風穴をあけねば真の改革にはつながらないのでは? 個々の取組みは評価できるし、スタートしているようにも思います。まだまだ企業中心、企業の都合が優先されている現状が見え隠れすると思います。
・次年度より小学校でも出前授業をされるとのこと。教育格差と言われ、子供の貧困も叫ばれているこの頃ですが、将来に希望のもてない(大学などにすすめない)子供達へのキャリア権についても是非具体的にお話しして欲しいと思います。

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