設立趣旨書

設立の趣旨

グローバル化・知識化する社会経済環境のもとにおいて、働く人々が意欲と能力に応じて希望する仕事を選択し、職業生活を通じて幸福を追求する権利である「キャリア権(right to a career)の考え方が広く社会に受け容れられることが大切になってきています。

わたしたちNPO法人キャリア権推進ネットワークは、このキャリア権の理念を提唱し、広く認知され普及するための事業を行い、キャリア権の基本法制化並びにその理念にのっとった諸法令の制定・適用及び政策の策定・運用の実現に向け活動することにより、働く人々にとって納得のいく職業生活の展開、企業の活力と競争力の向上、社会の持続的発展に寄与することを目的として設立されました。

私たちの役割

我が国の労働力人口(15歳~64歳)に占める雇用者の割合は9割近に達し、今後は多くの人が半世紀近くも就業する時代になります。
一方、産業構造の高度化や新たな産業の創出、職務の多様化など産業構造の変化や労働市場の流動化が進展しているなかで、働く人は、障害にわたって自らの職業能力を高め、新しい知識を習得するとともに新しい技術等に対応する必要性が生まれてきています。会社が変わってもそれまでの経験や知識・スキルが正当に評価され個人が納得感をもって働ける社会が求められています。
キャリア権とは、働く人々が意欲と能力に応じて希望する仕事を選択肢、職業生活を通じて幸福を追求する権利です。NPO法人キャリア権推進ネットワークは、「キャリア権を立法の観点から検討・研究するとともに、その理念を普及啓発するために、働く人・企業・労働組合・学校・自治体等社会と幅広く連携し、活動を行っていきます。

特定非営利活動法人キャリア権推進ネットワーク  設立趣旨書

現在の日本社会には、あらゆる分野で閉塞感が広がり、将来への不透明感が高まっています。こうし
た状況を克服するために、人々が未来の可能性を信じ、自分自身ができることを拡げ、周囲の人たちに
働きかけ、ともに協力しあって、次の時代へと進んでいこうとする意欲を高められる環境を作りだして
いくことが重要です。
雇用・就業の分野においても、長期にわたる職業生活の目標実現への取組みの過程であり結果である
職業キャリアの準備、開始、展開をめぐり、働いているあるいは働こうと考えている人一人ひとりが、
自助、人々の間の共助、国や自治体などの公助がそれぞれに機能し、相互に円滑に連携し、相乗効果を
あげ、意欲にあふれて働くことができるようにすることが大切です。
そうした観点から、働きあるいは働こうと考えている人達の職業キャリアをよりよいものとするため
に政治、経済、社会のさまざまな局面での対応が望まれますが、各種の立法措置、政策、方針を推進す
るうえで、キャリアをめぐる法的な理念と基盤整備が不可欠だと信じます。働く人一人ひとりが、その
意欲と能力に応じて自分の望む仕事を選択し、職業生活を通じて幸福を追求する権利である「キャリア
権」の理念がそれに相当し、また、現に雇用対策法、職業能力開発促進法など 20 を超える法令で「職業
生活設計」(キャリア・デザイン)の考え方が採用されていますので、こうした理念の内実を豊富化し、
諸立法をさらに拡げ、理念と法令が適職選択、職場でのキャリア形成、学校教育や職業教育訓練と学習
活動などに反映するよう推進することが喫緊の課題となっています。
そのために私たちは、職業キャリアが充実、尊重される社会の実現に関心ある人々のネットワークを
形成するハブ機能を担いながら、シンポジウム、セミナー、ホームページ、出版などの事業を行って、
社会におけるキャリア権理念の普及と認知を促進するうえで、さまざまな立場の方々が広く参加できる
よう、NPO法人として法人格を取得することにしました。趣旨に賛同される方々のご理解とご支援を
お願いするとともに、私たちのネットワークに参加いただけることを希望します。

2012 年 5 月 14 日
設立代表者 戸苅 利和