第10回 仕事のルビー 働くサファイア~働く私を動かした言葉や出来事~ 入選作品発表

《ヒジャブと私》が キラリしごと大賞 に!
第10回 「仕事のルビー 働くサファイア」~働く私を動かした言葉や出来事~ 入選作品発表
当NPOでは、「仕事とキャリアのアーカイブ構築事業」として、職業キャリアに関する250字の投稿企画である第10回「仕事のルビー 働くサファイア ~働く私を動かした言葉や出来事~」を募集し、応募作品 310 点の中から入選作品 4点を決定しましたので発表いたします。
【募集概要と応募結果】についてはこちらをご参照ください。
■キラリしごと大賞 ペンネーム ホルモンくん 様 中四国在住 40歳代
「ヒジャブと私」
職場の病院職員食堂にヒジャブを身に付けた女性達がやってきた。
インドネシアから研修生だそうだ。彼女達が券売機の前で困る様子を見かけた。
メニューは漢字表記、上司に相談すると「あの人達はいよいよとなればマック行くから」とつれない返事。
目の前にいる人を喜ばせなくてどうすると私のやる気に火がついた。
英語のメニューを勝手に作り、豚肉及びラード使用の物には豚の絵を描いた。
上司に差し出すと「本場のナシゴレン教えてもらって提供したいね」券売機に引っ掛けてくれた。
頑張る彼女達の笑顔が見たい。勇気をありがとう!
<ご本人コメント>
素敵な賞をいただき光栄です。病院の職員食堂という場所柄、昼の職場はまるで戦場、食べに来られるお客様は病院職員の方。あまりの忙しさに緊張を強いられる環境から休憩されるお客様に喜ばれる食事を提供できているだろうか思い悩むこともしょっちゅう、無愛想なお客様に対面した日は自分に笑顔が無かったからではとハッとさせられることもあります。元気はもらうものではなく自家発電させるもの、一日を笑顔で働くのを自分自身と約束し頑張ります。ありがとうございました。
■ルビー賞 吉塚 有佑 様 関東在住 20歳代
「頑張りすぎているあなたへ」
「置かれた場所に咲いてくれ。咲き続けると疲れるからたまには枯れてもいいぞ」
これは、私が精神的に病みかけ、前職を辞める際にある上司から送られた言葉です。
「たまには枯れてもいい」この言葉が当時無職になった私にとって励ましの言葉になりました。
今は枯れていても、次の花を咲かせる準備期間にすれば、この辞職は失敗ではなく、次への必要な時間と考えを改めたのです。
無職になった自分を蔑んでいましたが、この言葉のお陰で、前に進むことができました。
だから次は私が、日ごろ頑張るあなたにこの言葉を送ります。
<ご本人コメント>
この度は素敵な賞をいただき、大変嬉しく思います。
上司の「頑張れ」という言葉が憎くなりつつあった当時、頑張り続けすぎてしまった私の結末は心身の負傷で退職でした。「頑張っていたのに、何で」その思いで悔しく情けなくなっていた時にもらったこの言葉で私は「頑張る」から解放されました。
生き方は様々で自分のペースで花を咲かせ、枯れてもまた咲けばいい、今はその気持ちで働いています。
最後に苦しかったあの一年を支えてくれた周りの方々、そしてもう会うことはできないこの言葉をくれた前職の上司に感謝申し上げます。
■サファイア賞 ペンネーム アオイソラ 様 中四国在住 60歳代
「曲がった枝を生かす」
40代で転勤。
上司の「組織は庭。曲がった枝は切らずに生かす。それぞれの個性が生きて、唯一無二の庭になる」という言葉が私を変えた。
曲がった枝は扱いづらいという思い込みがあった私はドキリ。
ぐるりと職場を見回すと、強面の方からお局風の方まで・・。
中堅リーダーとして頑張らないといけないのにやっていけるのだろうか。
しかし、上司に「自分のやりたいことにチャレンジ」と言われ、心がほぐれた。
確かに個性は豊かだったけど、ベクトルが揃うとすごいパワーがあり、楽しく仕事ができた。
個を生かすことを学んだ組織だった。
<ご本人コメント>
このたびは栄えある賞に選んでいただき、心より感謝申し上げます。転勤先で上司からかけられた「曲がった枝を生かす」という言葉は、組織での私の在り方を大きく変えました。個性を尊重し合うことで生まれる力と楽しさを実感したあの経験は、定年を迎えた今も私の心に残っています。今は組織を離れましたが、「個を生かす」は人生のテーマ。その思いを、この作品に込めました。
■ガーネット賞 ペンネーム 祖鞍あいこ 様 関東在住 50歳代
「精神障害者が居場所を見つけたエピソード」
パティスリーでパティシエ補助として働く私は毎日楽しい。
ケーキのプレートにメッセージを書くシェフ達を見て、毎日誰かの誕生日なのだと思う。
そしてそれに携われていることが嬉しい。
ケーキが並ぶショーケースを覗く人達の目は幸せそうで、
それをケース側から眺められる私はそれだけで有り難いと思う。
障害者枠でこの仕事の求人を見つけた時は、とても嬉しかった。
一般枠雇用で苦労を重ねた努力がやっと報われた。実家に帰る時、社割で店のケーキを買って行く。
母は目と舌で味わってとても喜んでくれる。やっとできた親孝行。
<ご本人コメント>
この度は、この様な素敵な賞に選んで頂きありがとうございます。
27歳の時から、統合失調症を患う私がやっと見つけた居場所である職場について書きました。
目には見えない病なだけに、病気を隠して採用されてもそれが続かず、やり場のない悲しみや怒りが入り混じる日々がありました。
「精神障害者」というと、悪いニュースの加害者や、マイナスのイメージが先行するかと思いますが、その繊細さ故を生かして、努力の下に、地道に活躍している人が、世の中にいることを知って頂く機会になれば幸いです。